2008年12月24日水曜日

『変態“ピ”エロ』


ミニシアター系フランス映画のパンフに寄稿しました。
『変態“ピ”エロ』
http://www.kingrecords.co.jp/visualpack/gekijyou/hentai_piero.html


“ピ”はスターではない。


“ぺ”ことペ・ヨンジュンや、“イ”ことイ・ビョンホンは言わずと知れた正統派の<韓流スター>だが、“ピ”はスターでもなんでもない。“ピ”ことピエールはフランスの売れないコメディアン俳優で、<反流スター>にすら、なれなかった不器用な凡人……例えるなら「タクシー・ドライバー」のデニーロや「太陽を盗んだ男」のジュリーみたいなカッコいいアンチ・ヒーローになることもかなわず、孤独にくすぶり、暴発することができなかった一発の不発弾だ。


自虐的で、精神不安定で……この世の中に腐るほどいる犯罪者予備軍の一人に過ぎない。さしずめボニーに見捨てられて、引きこもっちゃったクライドってところか? ぶっちゃけた話、中途半端でカッコ悪い。さてさて、<不条理実験映画>と形容されるこの「変態“ピ”エロ」を見て……


「難解で意味不明!」

「ラストって結局どうなったの? てか何なのこの映画?」

「つーか、リンチとかハネケとかのが全然ヤバくね?」

……という感想を持つ映画ファンも多いことだろう。


それでもあえて言っておこう。

追い詰められた密室。

憧れのスターを前に、レコードに針を置き、耳にヘッド・フォンを突っ込んで、

スィンギンなオールディーズ・ソングと流行りのダフト・パンクを脳内ミックスさせ、

I m A Cown♪……と部屋の中でおどけるピエールの洒脱さよ、哀しさよ。


独断と偏見で言わせていただく。

「変態“ピ”エロ」は絶対的スターへの羨望と、

どす黒くも魅力的な輝きに満ちたショービズへの憧憬を孕んだ、

<歪んだ音楽映画>なのだ、と。

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